【2015年1月20日】卓越した肉職人 イブ=マリ・ル=ブルドネックに学ぶ
1月20日に開催した「卓越した肉職人に学ぶ」イベントは、畜産大国フランスから肉業界の異端児と呼ばれているイブ=マリ氏(ル=ブルドネック)をお招きし、「いただきます ありがとう協働隊」の事業推進委員の新保吉伸氏によるセッション構成にて開催いたしました。
イブ=マリ氏は前人未到の60日熟成を手掛けたり(フランスでは牛肉の熟成期間は28日前後とされいます。)また世界各国を旅して各国の肉事情に触れ、いまでは英国系種も手掛けるなどグローバルな視野で活動されています。
ただ、国に保護された従来の飼育者や精肉業者の反発により業界内からのパッシングも多く受けていることも事実なのですが、イブ=マリ氏を支える強力な消費者によりこの活動が着実に実を結んできています。
いっぽう、今回のイベントをコーディネイトいただいた新保吉伸⽒は、繁殖肥育一貫生産や、循環型農業の推進を生産農家と取り組み、また⽜⾁の新たな流通を構築した仕組みをいち早く取り入れる等の活動が評価され、農林水産省のフードアクション・ニッポン・アワード2010 プロダクト部⾨優秀賞受賞 、フードアクション・ニッポン・アワード2014 審査委員特別賞受賞など数多くの賞を受賞されるなどその活動が注目されています。
また最近は、⽣産者と料理⼈をつなぐ活動を積極的に⾏い、近江⽜だけではなく、全国の⽣産者 とつながりを強化、国産飼料100%で育てる「近江プレミアム⽜」や愛農学園⾼等学校の養豚部が育てる豚を「愛農ナチュラルポ ーク」としてブランド化、北海道様似新富地区の駒⾕牧場で育つ完全放牧⽜を「ジビーフ」と名付けて流通の基 盤を作るなど活動の幅がさらに広がりを見せています。
今回は、そのような肉職人であるお二人が、「熟成肉、日本とフランスの違い」「イブ=マリが考える 肉業界の未来~人材育成カリキュラムについて」の講演の他、「熟成肉カットデモ」としてお肉の解体実演など実に盛りだくさんの内容での開催となりました。
開催当日のトークセッション「「熟成肉、日本とフランスの違い」の様子です。
食肉に興味のある一般参加者に加え、飲食関連、メディア他50名を超える参加者が溢れ会場は始まる前から熱気が凄い状態でした。
新保氏からは「ウェットエージング」「ドライエージング」の違い、また日本の熟成事情や、精肉店から見た美味しいお肉を届けるための「吊るし」という方法などの他、フランスの畜産、またフランスの牛肉と日本の牛肉の違いなどの講演があり皆さん真剣にメモを取られていました。
新保吉伸氏の講演はこちらでもご覧いただけます。
第二弾は、参加者からの期待度が高かった「熟成肉カットデモ」へ。
今回は、新保氏が骨付ロースの熟成肉を特別にご用意くださり、まずはイブ=マリ氏による解体(骨抜き)実演がスタート。
イブ=マリ氏は様々な種類の包丁を駆使し、汗だくになりながらも丁寧に解体をされていきます。
会場では参加者が写真を撮ったりしながらも、言葉も出さずに見守ります。
イブ=マリ氏の解体で切り取られるお肉は、日本式とまったく違い、形も大きく異なります。
その違いをということで、新保氏が続いて日本式の解体を実演。
イブ=マリ氏も真剣に新保氏の手さばきを見ています。
日本、フランスともにやり方は違いましたが、身体全体を使って美しく骨を外していく様は力強くかつ繊細で美しく参加者全員が圧倒されました。
熟成肉カットデモの様子はこちらでもご覧いただけます。
続いて、最後のセッション「イブ=マリが考える 肉業界の未来~人材育成カリキュラムについて」へ
食肉に携わる人たちが活躍し社会的地位が確立できるような仕組み作りを行いたいということから、イブ=マリ氏がスタートさせる職人養成プログラムの構想や、これからの食を支える食肉業界や飲食業界の人材育成をどのように行い、志の高い若者を育てて行くのかという想いをイブ=マリ氏、また新保氏より講演いただきました。
イブ=マリ氏の講演の様子はこちらでもご覧いただけます。
講演あり、実演ありの非常に充実したプログラムとなりましたが、フランスと日本の食肉文化の違いや現在業界事情、またこれからの食肉・飲食業界についての教育プログラムやあり方など幅広い内容ながらも、一般参加者にもわかりやく、また飲食業界に携わる方にはためになる、そんなイベントであったのではないかと思います。
このイベントを期に、食の世界のトップアスリートを育てる為の連携が大きく動きそうな期待が抱けた1日でした。
フランスからお越しいただいたイブ=マリ氏、またクラリスさん、通訳を行ってくださったmasayoさん、何よりもこのイベントを構築くださった新保氏、ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。