【2015年1月18日】自立したスモールファーマーが世界を救う ~「食べる、育む、生きる、つながる」新しい農のカタチ~」

今回は、「自立したスモールファーマーが世界を救う ~「食べる、育む、生きる、つながる」新しい農のカタチ~」というテーマで、ローカルからグローバルまで様々な活動をしているスモールファーマー(小規模農家)にお越しいただき、貴重なお話をうかがいました。

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第1部 都会で新しい食・農・暮らしの提案をするInuuniq Village(イニュニック・ヴィレッジ) 代表 飯尾裕光さま

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飯尾さまからは、ご自身の幼少の頃から自然の中で育った経験談から、愛農高校での生活、自然食品店りんねしゃの経営、北海道での除虫菊栽培、オーガニックカフェの経営、海外での活動、INUUNIQ VILLAGE(エコビレッジ)の立ち上げまで、この若さで驚くほどバラエティに富んだ経験談をお話しいただきました。

その中で終始一貫して考えていらっしゃるのは、昨今では分断してしまった「食と農」や「都会と田舎」をどうつなげるのか?ということでした。

自分で農業生産を行うというよりは、都会の人に食や農に気軽に触れてもらえるために、第一歩を踏み出す環境をいかにつくれるか?を常に考え、実行されています。
そのために今年からはINUUNIQ FARM体験農園や青空食農教室など新たな取り組みにチャレンジされています。

農業者の立場を知りながら、消費者の目線で事業展開されるところにこれからの新しい農業のヒントが垣間見えました。

「飯尾裕光さんの講演はこちらでご覧いただけます。」

 

第2部 地域が支える農業CSAを実践するメノビレッジ 代表 荒谷明子さま

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急遽天候不順のため来京できなかったレイモンドさまに代わって、奥様の明子さまから北海道長沼のメノビレッジでの活動やその思いについてお話いただきました。

現在CSA(Community Supported Agriculture)を実践するメノビレッジでは、年間経費を会員数で割った金額を年会費としていただいて、野菜やお肉、卵、パンなどを定期的にご家庭へ届けていらっしゃいます。少しずつ地域で信頼を積み重ねてこられた結果、現在では85世帯がこの活動に参加されています。

「工業化された農業はお金を儲けることが主目的ですが、それに対して小規模農家は「周りの人たちに応えること」が出発点でありゴールであるべき。単なるお金儲けや業者になってしまうと、そこには人間同士のつながりや仲間意識、信頼が生まれない。」とのこと。

本来、お互いが認め合い、許し合いながら、与えられた命をそれぞれが最大限活かして、目の前の人に応えることが労働の喜びであり、スモールファーマーだからこそできることだというお話に、一同、心から感動を覚えました。

農業者である前に、人として大切なことを改めて気づかせていただきました。

「荒谷明子さんの講演はこちらでご覧いただけます。」

第3部 衣食住を自力で確保し生きる力を育む自然農園「なな色の空」代表 村上真平さま

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三重県で農業をしながらAFA(Asian Farmers Association)の議長も務められる村上さまは、グローバル視点で物事を考え、ローカルで自ら実践するという希有なスモールファーマー。

世界の70%の食料を担っているのはスモールファーマーであるが、近代化の流れに乗り、先進国からの援助という名の下に、農薬や化学肥料をつかう持続不可能な農法に転換していったため、世界的にも多くの問題が起きているとのこと。

そこで新たにもう一つのCSA(Climate Smart Agriculture)という考え方がFAO(国際連合食糧農業機関)で発表され、AFAもメンバーとしてこれから持続可能な農法への転換の流れを作っていかれるとのことでした。

また地球上で最も生産性の高い環境に左右されないシステムが実は「自然の森林」とのこと。資源が循環し、多様性があり、多層構造であることで、何百年もその姿を維持する森林にヒントを得て、ご自身の畑もできるだけ自然の循環を意識した栽培をされています。

世界レベルで政策提言をし、ローカルな現場で行動することが、国をも変えていく唯一の方法だという言葉に、スモールファーマーの役割の大切さを、一同改めて感じました。

「村上真平さんの講演はこちらでご覧いただけます。」


2015-01-18 | Posted in 活動レポート, 生きる